自分の情報置き場が散らかっている、と気づいて3日で5階建ての本棚に作り直した話

AI 1人起業ノウハウ

前回の記事で、1人目のAIに加えて「2人目のAI」を顧問役にした話を書きました。経営判断について別の視点から意見をもらう仕組みを作った、という話です。

その2人目のAIに渡す相談メモを毎回書いているうちに、別のことに気がついてしまいました。私の頭の中、というよりも、私のパソコンの中の情報が、そもそも散らかっている。

相談メモを書こうとしても、「あの台帳どこに置いたっけ」「あの記事の元ネタ、原稿フォルダか、ナレッジ(=蓄積した知識のメモ)フォルダか、思いつきメモか」と、置き場所を毎回探すハメになっていたのです。

——これはAIに渡す資料の問題というより、私自身の整理の問題だ。

そう気づいたのが2026年5月12日の朝でした。そこから3日間で、自分のパソコンの中を「5階建ての本棚」に作り直しました。今日はその話を書きます。

Quick Answer

AIに業務を任せ始めると、AIに渡す資料の置き場所が散らかっていることに気づきます。私の場合、原稿・台帳・ナレッジ・メモがひとつのフォルダにごちゃ混ぜで、毎回探していました。これを「家の本棚」に例えて5階建てに整理し直したところ、3日間の作業で、AIに資料を渡す時間が体感で目に見えて短くなりました。本記事では、その5階建ての中身と、整理時に守った3つのルールをお話しします。

5階建ての本棚のアイキャッチ・整然と並ぶ本

1. 前回の続き──「情報が散らかっている」と気づいた瞬間

前回の記事で、Claude(クロード/私が普段使っているAI)に加えて、Gemini(ジェミニ/別の会社のAI)を2人目のAIとして導入し、顧問役にした話を書きました。

2人目のAIを使う時は、毎回「いまこういう状況で、こういう判断を迷っている」という相談メモを書いて渡します。相談メモは長くて2,000字、短くて500字くらい。それを書くために、いつも参照しているのが——

  • 今やっているプロジェクトの台帳
  • 過去にうまくいった/失敗した経験のメモ
  • 業務の手順書
  • 業界情報の調査メモ

の4種類です。

ところが、相談メモを書こうとして「あの台帳どこにあったっけ」と探し始めると、5分くらい平気で消えていきます。「フォルダの中にフォルダがあって、その中に似た名前のファイルが3つあって、どれが最新か分からない」という状態でした。

最初は「私が雑にファイルを置いているのが悪い」と思っていました。でも、よく見ると、雑というよりも、そもそも置き場所のルールが決まっていなかったのです。

ルールがないから、その時々で「とりあえずここに置いておくか」となる。それが半年積み重なって、迷子になっていました。

2. 散らかっていた現状──積み上がっていた3つの問題

床に本が雑然と積まれた山・散らかった現状の比喩

何が散らかっていたのか、具体的に書いてみます。私のパソコンの中には、当時こんな3つの問題が積み上がっていました。

問題1: 「いま動いている書類」と「過去の書類」が同じ場所にあった

たとえば、いま運営中のブログの原稿と、去年やっていたけど終わったプロジェクトの企画書が、同じフォルダの中に並んでいました。

人間の脳で言うと、机の上に「今日やる仕事」と「3年前にやった仕事」が同じ高さで積まれている状態です。これでは「今日やる仕事」が「3年前のもの」に埋もれます。

問題2: 「ナレッジ」と「日々の出来事」が混ざっていた

「ナレッジ」というのは、繰り返し使える手順や知識のメモのことです。一方、「日々の出来事」は、ある日の出来事や打ち合わせ記録など、その日だけのメモのことです。

性格がまったく違うのに、両方が同じ「ノート」フォルダに突っ込んでありました。

繰り返し参照するナレッジが、1回しか開かない日々のメモに混ざっていると、AIに「あの手順を参照して」と頼んでも、AIも私も探すのに時間がかかります。

問題3: 「重大な失敗の記録」と「普通のメモ」が同じ重さで並んでいた

過去に「これはもう二度とやってはいけない」と決めた重大な失敗の記録があります。請求書の二重計上、公開していけない情報の誤掲載、そういう類いです。

ところが、これも他のメモと同じ場所に並んでいて、「今日のランチの記録」のすぐ隣にあったりしました。

——重要度が違うものを同じ場所に並べていると、重要なものが軽く扱われていきます。

3. 5階建てに整理し直した発想──家の本棚に例える

3つの問題を見て、対策はシンプルでした。性格の違うものを、別の場所に置く

ただ、「別の場所」と言っても、フォルダを5つも10個も作ると、今度はどのフォルダに何を入れるか分からなくなります。だから、家の本棚に例えて、5階建ての構造にしました。

家の本棚って、こういう感じですよね。

  • リビングの本棚 → 毎日見る本(料理本・育児書・テレビ番組表)
  • 書斎の本棚 → 週に1回開く本(参考書・辞書・調べもの用の専門書)
  • 日記帳 → 毎日書くけど、書いたら基本見返さないノート
  • 金庫の中の重要書類 → 開けることは少ないけど、失くしてはいけない書類
  • 物置の段ボール → 1年に1回開けるかどうかの、思い出の品

家の中で本や書類を置く場所は、こんな感じで「触る頻度」と「重要度」で自然に分かれています。

私はこの感覚を、そのままパソコンの中に持ち込みました。

4. 5階それぞれの中身

整理後の構造を、表にまとめるとこうなります。

名前(役割) 何を置くか 更新頻度 触る頻度
1F 現役の業務棚 いま動いているプロジェクトの台帳・原稿・素材 毎日 毎日
2F ナレッジ棚 繰り返し使う手順書・ツールの使い方・業界情報 週単位 必要な時に検索
3F 日々の出来事ノート その日の作業記録・打ち合わせメモ・気づき 毎日 過去を振り返る時
4F 重大事故の記録庫 「二度と繰り返してはいけない」失敗の記録のみ 事故が起きた時だけ 同じ状況が来た時
5F 過去資産の物置 終わったプロジェクト・旧バージョンの設計書・大きな画像/動画などの素材データ 凍結 明示的に過去を調べる時だけ

ここで一番大事なのが、4Fの「重大事故の記録庫」を独立させたことです。

これまでは、重大な失敗も、普通の日々のメモも、同じ場所に混ざっていました。それを4Fに分離したことで、「ここに入っているものは、最優先で守るべきルールである」という重みが、自分の中でも、AIにとってもはっきりしました。

AIに「4Fに置いてあるルールに従って判断して」と言えば、軽い気持ちで判断する余地がなくなります。これは、整理してみるまで気づかなかった、思わぬ副産物でした。

5階建ての本棚を斜め俯瞰で撮った写真・各階の中身が見える

5. 整理してから1週間、変わった3つのこと

整理を終えたのが5月14日、この記事を書いているのが5月22日です。整理後1週間ちょっと使ってみて、変わったことを3つ挙げます。

変わったこと1: AIに資料を渡す時に「どこにあるか」を考えなくなった

整理前は、AIに「あの台帳を見て」と頼む時に、まず私自身が「どこに置いたっけ」と探していました。

整理後は、性格別に階を分けたので「これは『現役の業務棚』だな」「これは『ナレッジ棚』だな」と、置き場所が自動的に決まります。

体感で、資料を取り出す時間が目に見えて短くなりました。秒単位で測ったわけではないので「何分短縮」とは書けませんが、作業を中断して探すストレスが、整理前より大きく減った、という感覚です。

変わったこと2: AIが過去の重大な失敗を踏まずに済むようになった

4Fに「重大事故の記録庫」を独立させたことで、新しい作業を始める前にAIに「まず4Fを見て」と指示できるようになりました。

これまでは、「重大事故の記録」が他のメモに埋もれていて、AIが見落とすことがありました。独立させた後は、AIが先に参照するので、同じ失敗を繰り返すリスクが体感で下がりました。

変わったこと3: 「もう触らない物」を物置に移して、心が軽くなった

5Fに「過去資産の物置」を作って、終わったプロジェクトをまるごと移しました。

——これは作業効率というよりも、気持ちの問題です。

「終わったはずなのに、目に入る場所にある」と、ふと「あの時こうすればよかったかな」と考えてしまう。物置に移してからは、目に入らなくなって、いま動いているプロジェクトに集中できるようになりました。

6. 整理時に守った3つのルール

整理する時に、守ったルールが3つあります。これは、あとから「あれこれ困った」と気づいたことを、最初からルール化したものです。

ルール1: 同じファイルを2か所に置かない

整理する前は、「とりあえずコピーして両方に置いておこう」をやってしまっていました。

これをやると、片方を更新した時にもう片方が古いまま残り、どちらが正しいか分からなくなります。

整理時のルールは「置き場所は1つに決めて、別の場所からは触らない」。AIに渡す時も「2Fのナレッジ棚にあるあの手順書を参照して」と、場所を1つに固定して指示します。

ルール2: 参照する順序を決める

AIに「新しい記事を書いて」と頼んだ時、AIはどこから情報を取りに行くか、毎回迷っていました。

整理時に決めたのは「まず4Fの事故記録を見る→次に2Fのナレッジ棚→必要なら1Fの現役プロジェクトの既存原稿を参照」という順序です。

この順序を最初に決めておくと、AIも私も毎回同じ手順を踏むので、抜け漏れが減ります。

ルール3: 「物置に移したもの」は基本見ない

5Fの物置に移したものは、明示的に「過去を調べる必要がある」と決めた時以外は、見ません。検索の対象にも基本入れません。

——人間も、3年前の手帳をいちいち見返さないですよね。あれと同じです。

本棚から本を1冊取り出す手元クローズアップ

7. 「一次情報×AIカスタマイズ」核原則は、ここでも守る

私がブログでも実務でも繰り返し書いている核原則があります。「一次情報×AIカスタマイズ」、つまり——

自分の現場で出てきた一次情報を、自分の業務に合わせてAIにカスタマイズしてもらう

という原則です。

今回の5階建ても、誰かに教わった整理術ではありません。自分が「2人目のAIに資料を渡す時に毎回探している」という現場の困りごと(=一次情報)を起点に、自分の業務サイズに合わせてAIと相談して作りました。

世の中には立派な情報整理の本がたくさんあります。それを読むのは悪くないと思います。ただ、本に書いてある方式をそのまま自分の業務に当てはめると、たいてい合いません。サイズも目的も違うからです。

だから、最初は雑でいいので自分の業務で起きている困りごとから出発する。そこから5階建てなり3階建てなりに整理する。これが、私が遠回りして辿り着いた方法です。

8. この記事で伝えたい3つのこと

  1. AIに業務を任せ始めると、自分の情報整理が試される。AIが優秀かどうかではなく、AIに渡す資料の置き場所が問われる
  2. 置き場所は「触る頻度」と「重要度」で分ける。家の本棚と同じ感覚で、性格の違うものを別の階に置く
  3. 重大な失敗の記録だけは、独立した場所に置く。他のメモと混ざらせない。AIにとっても自分にとっても、「重み」がはっきりする

9. 次回予告

この連載は、5月14日のPost 51(AIに優秀な秘書を育てようとして1週間で解雇した話)、5月18日のPost 56(2人目のAIを顧問役にした話)、そして本記事の、実質3本でひと区切りです。

次回からは、また別のテーマで書いていきます。1人事業者がAIに業務を任せていく上で気づいたこと、引き続きお伝えしていきます。

FAQ

Q1. 5階建ての構造は、自分も同じものをコピーして使えばいいですか?
A. おすすめしません。5階建ての「階の数」や「中身」は、業務サイズと種類によって最適解が違います。3階建てで足りる人もいれば、7階建てが必要な人もいます。本記事の5階建てはあくまで例として捉えて、自分の業務に合わせて階数を決めてください。

Q2. パソコンに詳しくないのですが、フォルダを5つに分けるだけでいいのですか?
A. ほぼその通りです。一番上のフォルダを5つに分けて、それぞれに「いま動いている書類」「ナレッジ」「日々の出来事」「重大事故の記録」「過去資産」というラベルを付けるところから始めれば十分です。中身は徐々に整理していけばOKです。

Q3. AIに「4階を見て」と指示するには、何か特別なツールが必要ですか?
A. 特別なツールは要りません。AIに対して、ファイルの場所(フォルダのパス)を文字で伝えるだけです。たとえば「~/作業/重大事故記録 にあるルールを参照してください」のように、置き場所を指定すればAIはそこを見に行きます。

Q4. 整理に3日かかったとのことですが、もっと短くする方法はありますか?
A. 私の場合、AIと対話しながら「これは何階に置くべきか」を1個ずつ決めていったので3日かかりました。あらかじめ階の構造を紙の上で決めてから一気に移動する方式なら、半日〜1日でできる可能性があります。ただ、最初に階の構造を考える時間に2〜3時間は確保した方がいいです。

Q5. 整理した後、また散らかってしまうことはありますか?
A. あります。私も整理後1週間で、すでに「これはどこに置こう」と迷うファイルが何個か出ています。大事なのは、迷ったときに「新しい階を作る」のではなく、「既存の5階のどこに当てはまるか」を考えることです。階を増やしすぎると、また散らかります。

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